SDGsの先進的な取り組みを顕彰する「くまもとSDGsアワード2023」の表彰式がこのほど開かれました。県、経済団体、熊日などでつくる実行委主催。部門は県のSDGs登録事業者に限った「牽引(けんいん)」と、地域社会に貢献する個人・団体が対象の「未来づくり」の二つ。最高賞の特別功労賞と、各部門の大賞受賞団体の活動を紹介します。
公益財団法人「阿蘇グリーンストック」(阿蘇市)は、1999年から「野焼き支援ボランティア」を組織し、阿蘇の草原の再生・保全活動に取り組んでいます。熊本の宝である草原を守るとともに、生物多様性、畜産振興、水源涵養(かんよう)などに貢献している点が評価されました。
野焼き支援ボランティアの参加者はシニア世代や会社員、学生など幅広い世代。野焼きは多くの人手を要しますが担い手が不足しており、草原面積減少の大きな一因となっています。そこで同法人は野焼き支援ボランティアを組織し、地元の人だけでは野焼きが難しくなった地区に、安全講習を受けたボランティアを派遣。これまでに延べ4.2万人が参加しており、阿蘇の草原保全に欠かせない存在となっています。表彰式で同法人の増井太樹専務理事は「ボランティア、応援してくれる企業、牧野組合の力を合わせて、これからも阿蘇の草原を守っていきたい」と話しました。
住宅メーカー「新産住拓」(熊本市)は県産木材を使った住まいづくりを通して、森林保全と県産材活用に取り組んでいます。さらに、耐震等級3の最高レベルを標準仕様とし、環境にも健康にも良い、安全で命を守る住まいづくりを進めています。木育活動を通じた地域貢献にも取り組んでおり、「SDGs建築のトップランナーとしてロールモデルになりうる」と評価されました。
受賞に際し、同社の小山英文代表取締役社長は「住まいづくりを通して地域社会、お客さま、社員や職人さんたちの幸せをかなえていくことでSDGsに貢献できるという意識を引き続き持ち、これからも活動に励みたい」と話しました。
熊本大学の「ソレイユ」は目の不自由な子ども向けの学習教材を学生が開発・製造し、盲学校へ寄贈しています。2011年に前身の団体を設立。17年に工学部公認サークルとなりました。今年度は音声式の温度・湿度・気圧・高度計、音声案内する世界地図、音声でサポートする白杖練習器具、指で触ると部屋名を音声で発する立体校舎模型の四つを製作し寄贈しました。
同サークル部員の矢竹結稀さんは「今後は卒業生が所属するNPO法人などと連携し、より多くの人が製作・寄贈に関われるようにしていく予定です。また、教材を論文で発表し、熊本から世界へ広げていきたい」と抱負を語りました。
公正な国際貿易の実現を目指す「フェアトレード」を推進するため、若者らとのイベント開催や商品開発などを実施
ごみ収集にシステム管理を導入し、収集ルートの最適化とごみ排出量の見える化に取り組むなど、デジタル技術を駆使したITエコタウンの実現を目指す
植物由来かつ自然に戻せるプラスチック代替素材の開発・製造・販売を通して、資源の最大利用と環境保全を両立
交通事故の削減、福祉車両の普及、交通課題の解決、給電可能車の普及による災害時支援に取り組む
ボランティア活動、カーボンニュートラルに貢献する高性能な社員寮建設、災害時のBCP(事業継続計画)対策などを通してライフラインと地域を守る活動に取り組む
高校生が指導する地域密着型無料学習塾「NEW STEP」で教育格差をなくし、未来の人材育成、「第3の居場所」づくりなどに貢献
環境負荷の高い石油化学素材から天然素材への転換を目指し、木糸と最先端技術を用いた草木染による商品を提案。染料は温泉を活用しCO2排出ゼロで製造
認知症予防パズルの第一人者・川畑智氏の監修を受け、国産材を活用した福祉用具(パズル)を開発し、林業科学科の授業で製造
シート上のイラストや文字を指差すことで外国人と手軽にコミュニケーションを取ることができる「多言語指差しシート」を作成し、誰でも利用できるようにオンライン上で公開。行政や企業へ多言語発信に関して提言も
主に小中学生を対象に、竹などの自然材料や廃棄材料を使ったものづくり体験を実施。地域環境や身近な暮らしの環境保全を学ぶプログラムも提供