「生協くまもと」(水俣市)は、環境保全活動や地域住民の交流の場づくりなど、安心して暮らし続けられる地域社会の実現に向けた取り組みをしています。こうした取り組みは、SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」や、12「つくる責任・つかう責任」などにつながっており、「くまもとSDGsアワード2024」の牽引部門で入賞に選ばれました。
「大きなザリガニがいた!」。7月21日、水前寺江津湖公園(熊本市東区)に集まった9組の親子は真夏の太陽が照り付ける中、水路を歩きながら水生生物を探していました。生協くまもとが親子向けに開いた、江津湖の水生生物や外来水草について学習するイベントで、天草市から参加した松尾和楽[なごむ]君(9)は、「生き物が好きなので、いろいろなことが学べてうれしかった」とにっこり。生協くまもと常任理事の中野祐子さん(68)は「家に帰って少しでも環境のことを話題にしてくれたら」と語ります。

生協くまもとが開いたイベントで、水路に生えた外来水草を駆除する親子=7月21日、熊本市東区の水前寺江津湖公園
生協くまもとは、1920年設立の生協水光社(水俣市)と、1948年設立のコープ熊本学校生協(益城町)が2014年に合併して誕生した県内最大の生協です。生協とは、生活の安定と生活文化の向上を図るため、同じ地域や同じ職場に属する人たちが出資金を出し合い、協同して運営・利用する非営利団体です。生協くまもとでは県内15万人を超える組合員に、食料品や日用品の宅配をはじめとしたさまざまな事業やサービスを提供しています。
同組合は2019年に「生協くまもとSDGs行動宣言」を掲げ、その達成に向けて2030年までの目標となるアクションプランを提示しました。中野理事は「SDGsが設定される前から、生協は多くの社会的課題解決に自ら取り組んできた。アクションプランを提示することで、今までやってきた行動をさらに一歩進められたら最高だと考えた」と言います。江津湖でのイベントも行動宣言に基づいて企画された取り組みの一つ。身近な環境問題について親子で考えてもらいたいと、2020年から夏休みに合わせて開いています。
地域コミュニティーづくりも生協くまもとが積極的に取り組んでいる活動です。熊本地震の経験を踏まえ、「生協を地域の普段のよりどころ、災害など緊急時の頼りどころにしていきたい」という思いから、組合員以外の地域住民も参加できるさまざまなイベントを開催しています。コープ春日(熊本市西区)とコープ合志(合志市)の2店舗で毎月開催している「健康チェック相談会」は血圧や骨密度、血管年齢などを無料で測定するイベント。熊本地震後、ほぼ毎年開催している同イベントはリピーターも多く、おしゃべりを楽しみに来ている人も少なくないそうです。また、コープ春日では毎年9月1日の「防災の日」に合わせ「防災と地域の広場」を開催。敷地内に設置された「マンホールトイレ」「防災井戸」「かまどベンチ」といった、災害時に役立つ設備が体験できます。今年も8月31日に開催予定です。

コープ春日で毎月開催されている「健康チェック相談会」=2024年9月、熊本市西区(生協くまもと提供)
課題は、活動への若年層の参加が減っていること。現在の組合員の平均年齢は60・5歳で、多くは長年、生協を支えてくれた組合員だと言います。中野理事は「若年層の興味関心に合った活動を企画し、SNSなどを活用して情報発信をしていきたい」と話します。「協同することでSDGsの達成など個人では難しいことも実現できる。世代を問わず共感してもらえる環境をつくっていきたい」。地域に密着した生協くまもとの活動はこれからも続きます。
生協くまもとが開いている恒例のイベントで今年8回目。「マンホールトイレの見学会」「防災井戸の体験会」「消防車両の展示・水消火器体験」「ローリングストックの商品展示コーナー」など多彩な催し・展示がある。悪天候の場合は中止。
・日時 8月31日(日)午前9時半~午後2時
・場所 コープ春日(熊本市西区春日7丁目27-60)
※問い合わせはコープ春日☎096(322)5533

くまにちSDGs アクションプロジェクト
アドバイザー 澤 克彦さん
EPO九州
(九州地方環境パートナーシップオフィス)
生協は、生活・暮らしを共につくる仲間たち(組合員)によって成り立ち、共同購入や共済を通して「誰も取り残さない」持続可能な社会づくりを実践しています。
SDGsのゴール12「つくる責任・つかう責任」は、生産者だけでなく消費者の取り組みも重視しています。紙面で紹介した活動以外に生協が取り組む食品ロスの削減やリサイクルの推進などからも、ライフスタイルの工夫を学ぶことができます。