創業60周年を迎えた新産住拓は「住まいを拓(ひら)く」を社名に込め、県産材を中心とした「近くの山の木」で住まいづくりを手掛けています。県内の注文住宅・新築一戸建てで累計6000邸を超える実績。新築からアフターメンテナンス、リフォーム、住み替え、相続までのトータルサポートに加え、クリニックや保育園などの商業施設建築にも取り組んでいます。
新産住拓は30年前から独自の木材流通産直システムを構築し、木材の地産地消など環境負荷が少ない住まいづくりを実践しています。持続可能な開発目標の達成に向けた、県内の優れた取り組みを顕彰する2023年の「くまもとSDGsアワード」では牽引部門の大賞を受賞しました。また同年には公益財団法人くまもと地下水財団が地下水保全に取り組む企業・団体を顕彰する制度でも最上位のゴールド認定を受賞しました。
木材を天然乾燥させることで、輸送時の燃料やCO2の大幅削減、環境負荷の低減に尽力しています。今年1月には同社の木材生産現場である多良木プレカット協同組合に林野庁長官をはじめ林務関係者ら約10人が視察。組合理事長でもある小山英文社長が木材供給の現状や課題について意見交換しました。同社は顧客や一般客に向けて、木材生産工場見学ツアーも年6回開催しています。人吉観光も楽しめるこのツアーには子どもから高齢者まで幅広い層の参加があり好評です。
木材の天然乾燥や最新鋭の機械を使った加工作業を見学する木材生産工場見学ツアー
地元で育った木を積極的に活用した「熊本の木の家」の設計デザインにこだわり、2010年度以降22作品(24年度は2作品)がグッドデザイン賞を受賞しています。小山社長は「同賞を目指す挑戦は2010年から続けており、20代の若手スタッフの提案力やプレゼン能力の向上を目的に取り組んでいます」と話します。
2024年度グッドデザイン賞を受賞した「くまもとの佳景創造住宅」=KKT合志総合住宅展示場
2017年から、木育活動で知られる熊本大学の田口浩継教授を招いた「木育セミナー」を開催しています。20年からは地域の学校からの要請で社員を講師として派遣する「SDGs講話」や「木工教室」も実施しています。
23年には熊本市動植物園に「スマートゴミ箱」を寄贈しています。これはセンサーがごみを感知すると自動で圧縮し、通信機能で収集量を把握できるもので、子どもたちがごみの分別や環境問題について考えるきっかけづくりになっています。
また「エコキャップ運動」や、不要になった子ども服や雑貨を必要な人に無料提供する「おさがりマルシェ」も実施。さらに、使用済み天ぷら油を回収しバイオディーゼル燃料をつくる「わくわく油田プロジェクト」にも参加しています。
昨年11月、力合小(熊本市南区)の3年生を対象とした木工教室の様子
同社は社員一人一人の成長に寄り添い、夢をかなえることを応援しており、昨年、経済産業省「健康経営優良法人2024」に認定されました。毎月1回30分以上の1on1(個人面談)を9年続けており、社員一人一人の成長を支援しています。小山社長は「自由な発想で意見を言える環境を整備してきました。企業の軸となる『人財』の育成を重視し、働きたい会社ナンバーワンになるのが目標です」と夢を語ります。