株式会社再春館製薬所(以下、再春館製薬所)は化粧品や医薬品を製造販売するメーカー企業です。ロングセラー商品である基礎化粧品「ドモホルンリンクル」をはじめとする製品を独自に研究開発し、自社で販売、発送まで一貫して行うことで、顧客一人一人に寄り添った対応を可能にしています。また、自然との共生を念頭に置いた会社づくりや地域づくりにも熱心です。
再春館製薬所では「自然の力を人の力に活かす漢方の製薬会社である」という思いから、自然に負担をかけない製品開発に努めてきました。本社機能と工場が一体化した再春館製薬所の拠点・再春館ヒルトップは益城町にあり、約28万㎡もの広大な敷地の約7割が雑木林や芝生などの緑地で占められています。これは「人間は自然の一部である」という漢方の理念や、「自然の恵みをいただく企業として自然に負担をかけることはあってはならない」といった考えのもと、熊本の自然と共生する会社・製品づくりを進めているためです。「太陽の畑」と呼ばれる巨大な太陽光発電設備では再春館ヒルトップの年間使用電力の100%を生産。氷蓄熱空調システムや集光器の導入で省エネ化を進めるほか、社員食堂で残る果物の種や魚の骨などを堆肥化して、社内の畑で使用するという循環や、社員が自作した啓発POPで節電への意識を高めるなどの取り組みもしています。
環境保全や震災復興支援といった社会貢献活動にも積極的で、2023年からは未来を生きる子どもたちに向けた取り組みとしてSDGsや環境をテーマにした出前授業を実施。今年3月7日(木)には、熊本市立西里小学校の5年生40人を対象に出前授業を行い、研究開発部の大賀勇人さんが自社のSDGsに関する活動を解説しました。また、大賀さんは小学生でもすぐに実行できる四つのこととして「ごみを減らす」「食事を残さず食べる」「水を出しっぱなしにしない」「電気をむだ使いしない」と提言。大賀さんの「一人一人にとっては小さなことでも地球上のみんなでやれば大きなことになります。今日の暮らしから変えていきましょう」との言葉に、児童たちは納得した様子を見せていました。
西里小学校の5年生を対象に開いた出前授業。児童たちは環境に関することだけでなく、研究者という職業にも興味を持った様子。化粧品の原料の一つである晩白柚の皮のにおいを確かめるシーンも。生徒からは「酸っぱい!」「これが化粧品になるの?」との声。児童からの感想には「水や電気を無駄にしないように家族にも伝えたい」「化粧品の研究に興味が湧いた」といったものもありました。
再春館製薬所
研究開発部
大賀 勇人さん
環境や漢方に関することなど小学生には少し難しい内容も含んだ授業でしたが、児童たちから積極的に質問が出たことで、授業を楽しんでもらえたことが分かって安心しました。心がけ次第で小さなことから大きなものが生まれるということに気付いてもらえたようです。商品の開発や会社に関する質問も多く、化粧品の研究者という職業に興味を持ってもらえたことも喜ばしいと感じています。
再春館製薬所
ブランドコミュニケーション部
林 基理さん
昨年はオンラインでの出前授業が中心でしたが、対面ではよりコミュニケーションが取りやすく、とても楽しい時間となりました。今後は小学校だけでなく、県内の中学校、高校と、出前授業の場を広げていけたらと思います。環境に関する学びを伝えるだけでなく、これからを生きる子どもたちが将来熊本で働くことをイメージする機会にもなれば嬉しいです。
熊本市立西里小学校
森江 一史校長
自然に負担をかけない商品づくりや、環境活動に熱心に取り組む企業が地元にあることを生徒たちは知ることができました。環境をテーマにした仕事ができるのは素晴らしいことだと肌で感じられたのではないでしょうか。今回の出前授業は、生徒たちが将来の夢について考えたり、日々の学習へのモチベーションを高めるきっかけになったと思います。