SDGs朝刊特集 掲載記事アーカイブ

第2回 ユニセフ熊本SDGs実行委員会 国際ボランティアワークキャンプ 

SDGs×若者目線

「そろそろヤバい!」 高校生たち立ち上がる

SDGsに取り組んでいるのは大人だけではありません。これからの時代の主役となる高校生たちも、さまざまな活動をしています。

今回は「ユニセフ熊本SDGs実行委員会」と「国際ボランティアワークキャンプ」実行委員会に所属する6人の高校生たちの、今の思いを聞こうと直撃取材。「(SDGsの目標達成を目指す)2030年はもうすぐ。そろそろヤバい!」「ずっと地球に住み続けたい!」など、リアルな声を聞かせてくれました。

たくさんの人に気付いてほしい「SDGsは人ごとじゃない!」

「SDGsを最初に聞いた時は、大人や政府がやることかなと思っていました。でも、学校の授業やメディアで見聞きし、“将来、自分や子どもたちが困る世界になったら嫌だな”と思った時に、人ごとじゃないと実感。だから、たくさんの人に気付いてほしい。私は地球に住み続けたい。そのためにやらないといけないことがある」。そう力強く話してくれたのは、「ユニセフ熊本SDGs実行委員会」委員長の塚本遥さん(学園大付高3年)です。

 さらに「国際ボランティアワークキャンプ」実行委員の濱口託利さん(必由館高2年)も「最初は関係ないと思っていたけど、2030年はもうすぐ。そろそろヤバい! 少しでもできることがあればと思って取り組んでいます」。高校生たちは次々と危機感を口にします。「何か動いてみないと、何も変わらない。“まずはやってみる”という気持ちが必要」という田中諒さん(第一高2年)の言葉に、みんなは大きくうなずきました。

いま私たちが伝えたいこと

今回、話を伺った皆さん。左から、ユニセフ熊本SDGs実行委員会メンバーの塚本遥さん、大村谷芳さん、田中諒さん、国際ボランティアワークキャンプ実行委員会メンバーの濱口託利さん、澤井未来さん、田中陽愛さん

 

「ユニセフ熊本SDGs実行委員会」は高校生が立ち上げた団体。多くの中・高生と共に世界の現状を知り、活動の輪を広げることを目的としています。塚本さんは「社会問題を学ぶ学習会を通して、食品ロスをなくしていきたいと強く思うように。食品ロスを減らす方法を学びに大学へ進み、将来は環境活動家になりたい」と目を輝かせます。

 田中諒さんは、エネルギー問題について学ぶ中で、いろいろな側面から考えることが大切だと実感。「単に化石燃料を減らすだけでなく、電力使用量も減らせれば、問題解決に向けて大きく前進すると思います」

 同委員会の大村谷芳さん(熊本高2年)は、SDGsのゴール11「住み続けられるまちづくりを」について学ぶうちに政治に興味が出てきたそう。「選挙の時、社会で活躍する女性の人数を増やしたいという政治家の演説を聞きましたが、私は男女関係なく平等に職に就ける社会の実現の方が大事と思います」と自身の考えを話してくれました。

 「国際ボランティアワークキャンプ」は熊本市国際交流振興事業団が事務局を務める事業。実行委員の高校生たちが2泊3日のボランティアワークキャンプを企画・運営。社会課題について学ぶ分科会を立ち上げ、参加者と共に「何ができるか」を考えます。

 濱口さんは海洋汚染を調査。「海に捨てられたごみだけが問題ではなく、私たちが出すプラごみもマイクロプラスチックになって海を汚します。みんなにとって身近な問題です」と警鐘を鳴らします。

 田中陽愛さん(九州学院高2年)は「医療分野での国際協力に興味があります。将来は、青年海外協力隊に薬剤師として参加し、開発途上国の人たちを助けたい」と未来を見据えます。

 澤井未来さん(九州学院高2年)が学んだのは子どもの権利について。「昨年度、児童相談所が児童虐待として対応した件数が、全国で20万件を超えたと知り驚きました。社会制度の変更や、子育てについて相談できる場所の周知をもっと進めてほしい」と言葉に力を込めます。

 社会をより良くするための学びや活動は、夢や目標を見つけるきっかけにもなっていました。

 

ユニセフ熊本SDGs実行委員会   https://unicef-kumamoto.jp/  (熊本県ユニセフ協会)

国際ボランティアワークキャンプ https://www.kumamoto-if.or.jp/ (熊本市国際交流振興事業団)


ココがポイント!

高校生の思いを受け止め共に行動する社会へ

国際ボランティアワークキャンプ実行委員会 会計責任者

熊本市国際交流振興事業団 事務局長  八木浩光さん

 

 ユニセフ熊本SDGs実行委員会や国際ボランティアワークキャンプ実行委員会の活動の大きな特徴は、学校を飛び超えて高校生が集い、社会課題を「ジブンゴト」として考え、友と徹底的に話し合い、社会を良くしようと足元で行動するところにあります。「貧困や飢餓の連鎖を断つ」「持続可能なエネルギーへのアクセス」「不平等をなくす」「環境を守る」「すべての人に健康医療と福祉を」など地球規模の課題を自分なりに調べ、大人へも意見を求めていくのです。壁にぶつかり失敗を繰り返しながらも、自分の言葉で他者である友や大人に理解してもらう小さな成功体験を積み重ね、「自己効力感(自分はできるんだという自信)」を育み、将来の夢を形成していくのです。今、大人社会が、そんな高校生たちの思いを受けとめ、共に行動できれば、きっと「誰もがいきいきと活躍できる市民社会」へ発展していくことでしょう。

※(一財)熊本市国際交流振興事業団は市民と外国人の相互理解を進め、多文化共生の地域づくり、世界とのつながりをつくるための活動を行っている