企業の取り組み

新産住拓株式会社

創業57周年を迎えた住宅メーカー。「住まいを拓(ひら)く」を企業使命に掲げ、県産材を中心とした「近くの山の木」で住まいづくりを手掛けています。県内の注文住宅・新築一戸建てで累計6000棟を超える実績。地域材を天然乾燥させることで、木材輸送の燃料やCO2も大幅削減でき、環境負荷を減らす取り組みにも尽力しています。

住所
熊本市南区近見8-9-85
電話
096-356-1500
URL
https://www.shinsan.com/

環境負荷が少ない住まいづくりを推進

 新産住拓は、「住まいづくりを通して地域社会に貢献する企業」として、今年、「新産住拓SDGs宣言」を掲げ、「熊本県SDGs登録制度(第1期)」の登録企業となりました。資産価値を高め、末永く暮らせる住まいを提案しています。

代表取締役社長 小山 英文

熊本市出身。中央大学理工学部管理工学科卒業後、 ハウスメーカーに勤務。1992年、同社に入社。2006年から現職。

天然乾燥の県産材を多用し緑の循環を実現

多くの見学者が集まった「木て、見て、感じて」ツアーの様子=11月、多良木町

 同社は、木材の地産地消を進めています。山で伐採した木は化石燃料を用いた人工乾燥を行わず、太陽と風による「天然乾燥」を1〜2年かけて行っています。天然乾燥させた木材は香りや色、つやが良く、経年美を楽しむことができます。また、独自の木材流通産直システムを確立し、輸送距離の短い供給体制を実現。これらにより、木材の乾燥や輸送にかかる燃料消費を抑え、一般的な住宅と比べ建設時のCO2排出量を1/3に削減しています(※1)。

  「近くの山の木を使うことは、地域林業の活性化や水資源の保全など緑の循環につながっています」と小山社長は話します。こうした取り組みが認められ、住宅メーカーとして全国で2番目に「緑の循環認証会議」の森林認証を受けています。

 また、熊本の木を使い、人と環境にやさしい住まいづくりを実践し、森林の大切さを広く発信するなど、同社の永きにわたる取り組みが称えられ、昨年は熊本県の「くまもと環境賞」で新設された「永年活動表彰」を受賞しています。

 木材生産へのこだわりを一般の方にも見てもらおうと、「木て、見て、感じて」ツアーを実施。多良木町の木材生産工場で木材の天然乾燥を行うストックヤードやプレカット工場を案内しています。

省エネ・創エネ住宅を普及次世代につなぐ住まいづくり

 熊本の気候風土を熟知し、地域材を積極的に活用した「くまもとの木の家」の普及に取り組み、これまで16作品がグッドデザイン賞を受賞しています。

2021年度グッドデザイン賞受賞「Kurashi」

 省エネ・創エネ・断熱設備で一年を通して快適な暮らしを実現するZEHの普及にも努める同社。国の目標より3年早く2017年度にはZEH達成率が50%を超え、現在は80%に達しています。また、ZEHをさらに進めたLCCM住宅(※2)において最高ランクの5つ星を全国初認証。国の補助金を活用したLCCM住宅建築の実績も年々増えており、23年3月までに累計79棟の竣工を予定。さらに、ZEB(※3)にも取り組み、複合施設としては県内初となる医療系ZEB施設の設計・施工を手掛けました。

 次世代まで永く安心して暮らせる住まいづくりにも力を入れています。国が定める「長期優良住宅認定」では、国内の新築戸建て住宅の取得割合が25・5%(※4)のところ、全棟で取得。アフターサービスは24時間・365日体制を敷き、住宅医の診断によるリノベーション相談なども受けています。

働きやすい環境を整備「100年企業」を目指す

 働き方の多様化に適応した、誰もが働きやすい環境づくりを推進することで、県の「よかボス企業」「ブライト企業」に登録されています。昨年度は「KUMAMOTOよかボスAWARDS2020」を受賞、「熊本県男女共同参画推進事業者」として表彰されました。今年8月には「熊本県SDGs登録制度(第1期)」に登録され、全従業員が持続可能な社会の実現に向けた個人目標を立てて取り組んでいます。

 小山社長は「従業員一人一人が働きがいを持って業務に取り組めること、それがお客さまに喜ばれ、愛され続けることにつながり、企業の価値を高めます」と説明。「会社はお客さまのためにある」「住まいづくりで地域社会に貢献する」の企業理念のもと、「家守り」として存続する100年企業を目指します。