
SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、県内の優れた取り組みを顕彰する「くまもとSDGsアワード2025」の表彰式がこのほど、開かれました。熊本県、県内の経済団体、熊日などでつくる実行委員会主催。県のSDGs登録事業者が対象の「牽引[けんいん]部門」と、個人・団体などが対象の「未来づくり部門」に計29件の応募がありました。各受賞団体の活動を紹介します。
食品卸のハウディ(熊本市南区、富永哲生社長)は、食品ロスを減らし食品を必要としている人を支援しようと、包装が傷ついた商品を子ども食堂で活用してもらう仕組みを確立し、他企業の模範になると評価されました。
ハウディは1961年、熊本県学校給食弘済会として発足。94年に現在の社名になりました。病院や介護施設、飲食店などに食品を届ける総合商社として食文化を支えており、取り扱う商品は約2万点に上ります。
SDGsにも力を入れています。メーカーから仕入れる商品の中には、十分食べられるのに流通過程で包装が破れたり缶詰の角がへこんだりして、正規の商品として提供できないものが出ます。そんな食品ロスを減らせないかと近くのフードバンクに持ち込んでいましたが、準備に手間がかかる上、量も限られていました。
そこで2022年、県ひとり親家庭福祉協議会と連携。こちらから持ち込むのではなく、子ども食堂の運営者らに取りに来てもらう仕組みを作りました。当初は月に1回、100個ほどの商品を提供していましたが、今では月2回、200~300個を提供しています。さらに寄付型自動販売機を本社に設置し、従業員らが購入した飲み物の売り上げの一部を県子ども食堂ネットワークに寄付しています。
表彰式で同社の吉野誠起経営管理部長は「地域の未来を支えるのは子どもたちです。小さな積み重ねが子どもたちの笑顔につながると確信しています」と話しました。

子ども食堂の運営者は、商品として提供できなくなった食品から希望するものを持ち帰ることができる(株式会社ハウディ提供)
県立矢部高校林業科学科の木材利用研究班は、県産の木材を使って認知症予防パズルを開発しました。パズルは高齢者らに好評で、累計販売数1千個を達成。高校生ならではの視点を生かして林業と福祉の課題解決につなげようという「林福連携」の取り組みは、SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」などにつながると評価されました。
「林福連携」のきっかけは2020年度の課題研究の授業で、木工品の端材を高齢者の健康づくりに役立てようと積み木を作ってみたことでした。生徒たちは山都町社会福祉協議会と相談して、翌21年、認知症予防のためのパズル作りを始めました。
専門家のアドバイスを受けながら試作を重ね、県産ヒノキを使った第1弾パズルが完成。22年から年間200個限定で予約販売を始め、1年半待ちの人気商品となりました。
「新しいパズルが欲しい」との要望を受け、24年4月からは第2弾の開発を開始。生徒たちは知恵を絞ってピースのデザインを考え、25年2月、同じく県産ヒノキで作った第2弾パズルが完成しました。「スギやヒノキの香り成分が脳機能を高める」と専門家は評価しています。また、障害者福祉作業所がパズルの製作を引き受け、障害者雇用にも貢献しています。
表彰式で木材利用研究班の生徒たちは「林福連携についてほかの地域や高校と情報を共有し、活動の輪を広げていきたい」と話しました。

認知症予防の第2弾のパズル作りに取り組んだ県立八毛高校林業科学科の生徒たち(同校提供)
【優秀賞】
熊本の水資源を大切に守る観点から、植物が育ちやすく、雨水が浸透しやすい「雨庭」に着目した住宅・宅地開発プロジェクトを推進している。大学など外部機関との連携で定量的データを蓄積しながら情報を発信し、事業展開に結び付けている。
製材業を営みつつ、1973年から森林を守る活動に注力。「ほほえみの森」活動と名付け、社員全員で地元を中心に植林や間伐などの作業を継続している。すでに社有林の面積は約600ヘクタールに及び、森林には「ほほえみの森」と記した看板が数多く掲げられている。
「地域の絆」の再構築を掲げ、地域住民との連携を深めながら、子ども食堂、交流イベント、高齢者の見守りといった幅広い事業を10年間にわたって継続している。活動の中核は、四つのボランティア組織で、教員OBや婦人会、高校生など多様な層で構成され、ほぼ無料でサービスを提供している。
【入賞】
二酸化炭素排出削減など資源循環型で環境に配慮した事業展開に加え、積極採用する外国人技術者との共生やセミナーの推進など社を挙げてSDGsに向き合っている。
スタートアップ企業と連携し、化粧品製造過程の廃液を分解・浄化してエネルギーとして再利用するプロジェクトを始動。これまでの再生可能エネルギーや植樹活動などに加えて、継続的に環境に配慮した経営を推進している。
【優秀賞】
熊本地震によってテナントビルが取り壊されたのを機に、「商い優先ではなく、熊本の自然を大切にする、開かれた私設の公共空間」(面木健オーナー)を目指して2019年に誕生。地下水を生かし、文化や芸術の発信拠点、人々が交差するユニークな取り組みは、まちづくりのロールモデルでもある。
2021年にフードロス食品を集める「フードパントリー みんなの冷蔵庫」を開設。行政や地域企業・団体、住民と連携して広く安定的に食材を集め、個人の支援者のほか26社が食品を提供。葯560世帯が日常的に利用している。
【入賞】
鶴屋百貨店を母体に1974年の設立以来、県内の高校生や大学生に奨学金を給付。50年の節目に県内企業にも参画を呼び掛け、新たな支援制度を開設するなどして、未来の人材づくりを牽引している。
県内の教育機関やNPOなど約70個人・団体で構成。「外国人労働者から選ばれる熊本」を目標に、情報提供や組織化などを通して、多文化共生の基盤づくりに貢献している。
菊池市、合志市、大津町、菊陽町の県地球温暖化防止活動推進員やOBが主体となり、20年にわたって幼児や小学生を中心に体験重視型の環境学習を実践。河川の美化や啓発活動に取り組んでいる。

「くまもとSDGsアワード2025」の牽引部門と未来づくり部門で表彰を受けた、事業所や個人・団体の代表者たち=昨年12月14日、熊本市中央区のホテル熊本テルサ