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公益財団法人再春館「一本の木」財団

自然保護の担い手 体験通じて育成

 「守る、つなげる、共に生きる」ー。そんなスローガンを掲げて、熊本の豊かな自然環境を守り、未来につなげようと活動を続けているのが公益財団法人「再春館『一本の木』財団」(上益城郡益城町、葉玉匡美理事長)です。自然環境保護に励む人々をつなぎ、人と自然が共に暮らしていけるような地域社会づくりに取り組む財団の活動は、SDGsのゴール12「つくる責任、つかう責任」や、17「パートナーシップで目標を達成しよう」などにつながっています。

 「一本の木」財団は2006年10月に設立、10年10月には公益性の高い活動を行う「公益財団法人」に認定されました。以来、①環境教育事業②普及・啓発事業③助成事業④環境保全・環境整備事業ーに取り組んでいます。

 

生き物と触れ合う

 中でも力を入れているのが環境教育事業です。自然が好きな子どもを増やしたい、子どもたちに生き物への興味を持ってもらいたい、と17年度に「再春館一本の木キッズクラブ」の活動を始めました。

 「一年間を通して江津湖や立田山など豊かな熊本の自然に触れ、生き物を観察することで、子どもたちに自然の大切さを体験し、学んでもらいたい」と財団の岩越泉事務局長(67)は話します。

 キッズクラブは県内に住む小学1年生から6年生までを対象に、現在は定員40人で活動しています。「キッズクラブを卒業した子どもたちも、ボランティアとして手伝いに来てくれて、本当に助かっています」と岩越事務局長。参加を希望する子どもは年々増えていて、競争率は高くなってきているといいます。

 観察会は自然観察指導員や地域のボランティアなど、専門的な知識を持つ人たちの協力を得て実施しています。本年度は熊本市の上江津湖で「四季を通した観察会」を、上天草市で「海の生き物観察会」を開催しました。海の生き物観察会では熊本大学の臨海実験所「合津マリンステーション」の協力の下、海の生き物について学び、天草の海岸でカニや貝などを実際に探して、それぞれの生態などを学びました。

 

「四季を通した観察会」に集まった「再春館一本の木キッズクラブ」のメンバー。さまざまな生き物を見つけた=4月20日、熊本市の上江津湖(再春館「一本の木」財団提供)

 

親子で自然を学ぶ

 環境教育事業のもう一つの柱が、18年度から小学生親子を対象に始めた「親子の自然体験学習会」です。今年は9月に阿蘇の草原で野草や生き物を観察し、そこで刈った野草を熊本市動植物園のゾウに食べさせる体験学習を実施しました。10月には水鳥などの生息地であり、国際的に重要な湿地としてラムサール条約に登録された荒尾干潟で、トビハゼやムツゴロウなどの多様な生き物を観察しました。

 これまでにキッズクラブや親子学習会に参加した子どもたちからは、「湖には魚だけでなく、いろんな種類の虫がいることに驚いた」「阿蘇の野草をゾウが食べていたことが分かってびっくりした。いろいろな草花を学べて楽しかった」「見たこともない生き物がたくさんいた」という声が届いているそうです。

 

「親子の自然体験学習会」で干潟にすむ多様な生き物を探す参加者ら=10月4日、荒尾市の荒尾干潟(再春館「一本の木」財団提供)

 

助成事業で活動支援

 同財団では、県内の自然保護活動や教育活動を行う団体を支援する助成事業にも、07年から取り組んでいます。これまでに延べ80団体152件に総額6千万円を超える助成をしてきました。事業を通じて、各地域で活動する人たちとのつながりができ、その輪が広がっているといいます。

 また環境保全活動として、11年の九州新幹線開通に合わせ、万日山緑地公園(熊本市西区春日)に500本を超える桜やツツジを植栽しました。熊本空港へ続く第二空港線沿いにも植栽し、その維持管理の協力もしています。

 「キッズクラブなどの活動を通じて子どもたちの自然への興味と理解を深め、次世代の自然保護の担い手に育ってもらいたい。そのためにも関係機関や各団体との連携を深めていきたいですね」と岩越事務局長は話しています。


ココがポイント!

環境を守る人を育む

澤 克彦さん くまにちSDGs アクションプロジェクト
アドバイザー
澤 克彦さん

EPO九州
九州地方環境 パートナーシップオフィス)

 「再春館『一本の木』財団」は、持続可能な社会の担い手を育てる教育を、熊本の子どもたちに広く提供しています。この取り組みで、自然と調和したライフスタイルの情報や意識づくりの機会が得られます。

 豊かな自然に恵まれた熊本ならではの活動支援として、環境団体への助成も注目されます。助成により、地域の環境問題の解決に向けた協働が促進され、海や陸の環境保全活動が支えられています。