SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、県内の優れた取り組みを顕彰する「くまもとSDGsアワード2024」の表彰式がこのほど、開かれました。熊本県、県内の経済団体、熊日などでつくる実行委員会の主催。県のSDGs登録事業者を対象とした「牽引部門」と、地域社会に貢献する個人・団体などが対象の「未来づくり部門」に、計44件の応募がありました。両部門の大賞受賞団体の活動を紹介します。
熊本市や他県の自治体から出たペットボトルを選別する石坂グルー プの従業員。 中間処理の後、 クリアファイルやペットボトルなどに 生まれ変わる
有価物回収協業組合石坂グループは、「全ての廃棄物を資源物へ」を掲げ、産業廃棄物のリサイクルに早くから取り組んでいます。その先進性や実績に加え、AI(人工知能) によるペットボトル選別といった新たな取り組みも評価されました。
1979 (昭和54)年、熊本有価物回収事業協同組合として発足した同グループは、86年に組織変更して現在の名称になりました。 熊本市や菊池郡市、阿郡群市などの自治体から委託を受けてリサイクル事業を行っているほか、廃木材や金属、古紙 などさまざまなリサイクルを手掛けています。 また、熊本地震の災害廃棄物処理を請け負うなど被災地の復興にも寄与してい ます。
基本理念の一つとして「3R」をうたいます。3Rは、抑制 (リデュース、物を大切に使いゴミを減らすこと)、再使用(リユ ース、使えるものは繰り返し使うこと)、再利用(リサイクル、資源として再び利用すること) の総称で、この3Rを積極的に推進する事業活動を続けています。
さらに、生産から小売りに至る「動脈産業」と、消費後のリ サイクルなどを担う「静脈産業」 をつなぐ存在となることを目指しています。
表彰式で、同グループの石坂 繁典・環境事業部長兼経営管理 部長は「災害が起きたとき復興へと向かうために、廃棄物を迅速に処理するのが私たちの使命。これからも廃棄物を使える資源に戻す責任を担っていきたい」と話しました。
「第1回球磨川河口エコトーン干潟フェスタ」に集まった次世代のためにがんばろ会とエコユースやつしろのメンバーら。干潟のごみ拾いや生き物調査を行った=昨年10月、八代市の球磨川河口
次世代のためにがんばろ会(以下がんばろ会、松浦ゆかり代表)は八代地域の環境保全団体です。地元住民らが河川や干潟の保全活動に取り組んでおり、がんばろ会から生まれた高校生グループ「エコユースやつしろ」と一体となった、広がりのある活動が評価されました。
がんばろ会は2001年7月、八代市の環境政策に意見を反映させるために任命された市民代表が中心となって結成されました。河川の浄化を目指して牡蠣殻を用水路に沈める「かき殻まつり」を開催したり、環境をテーマにした小中学校などへの出前授業に取り組んだりしてきました。
高校生のチーム・エコユースやつしろは、がんばろ会の傘下団体として21年7月、結成されました。「水」や「環境」をキーワードとして体験学習を重ね、その成果を世界へ向けて情報発信できる人材の育成を目指しています。水に関する専門家の講義や野外活動など、年間を通じてさまざまな体験型プログラムをがんばろ会が提供しています。
昨年4月から始まった球磨川河口の干潟での「いきもの調査」もその一つです。ハクセンシオマネキやアシハラガニなど干潟の生き物を調べて、その大切さを学んでいます。
表彰式で松浦代表は「干潟保全のプロジェクトでは、希少種が見つかるなど成果が上がっている。今後は、私たちの活動を引き継ぐ若いメンバーが育ってくれることを期待している」と話しました。
「くまもとSDGsアワード2024」で入賞した個人・団体の代表者ら=昨年12月7日、熊本市中央区のホテル熊本テルサ